ミステリー作家の「私」が地道な調査で心霊現象の謎を解き明かしていく、推理小説的ホラー映画 50点
© 2016「残穢 -住んではいけない部屋-」製作委員会
あらすじ
ミステリー小説家である私(竹内結子)に、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から自分が住ん でいる部屋で変な音がするという手紙が届く。早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が自殺や心中、殺人などの事件を起こしていたこ とが判明。久保さんの部屋で生じる音の正体、そして一連の事件の謎について調査していくうちに、予想だにしなかった事実がわかり……。
シネマトゥディより
感想(ネタバレあり)
心霊現象を基本的に信じていないミステリー作家の「私」(竹内結子)が、久保さん(橋本愛)の部屋から聞こえてくる不可思議な音の正体を探るため、昔の住宅地図や法務局の登記などをもとに、マンションが建つ前の過去の出来事を紐解いていく展開は、推理小説を読んでいるようでとても面白かった。
音の正体は一体なんなのか、調べれば調べるほど謎が謎を呼ぶ展開で一気に引き込まれる。
ただ物語の中盤から色んな過去の出来事と人物が錯綜して、理解が追いつかなくなった。
小説なら少し前に戻って読み返すことができるが、映画はそれができないので話が複雑になってくると正直キツイ。
また、話の舞台が急に九州に飛んだあたりから、明らかに中だるみし始めた。
観ている側の関心は久保さんの家の奇妙な音の原因解明なのに、違う方向に話が進んでいってしまい、「なんで今それを調べてるの?それって何か関係あるの?」という気持ちにさせられる。
それでも広げまくった風呂敷をキレイにまとめてくれればまだ良かったが、結局、謎は謎のまま、むしろ謎が深まるかたちで、唐突に「これで私の調査は終わった」みたいに投げ出されて終わる。
私はホラー映画は別にオチがしょぼくてもいいと思っているが、オチをつけないのは許せない。
特に、この映画は推理小説のように話が展開していくだけに、謎が解けないままなのはフラストレーションが溜まりまくる。未完成の映画を見せられたような感じでモヤモヤする。
最近、謎を提示するだけして解決せずに終わる、という映画や小説が増えている気がする。「あとは、あなたの解釈に委ねます」的な。
手抜きっぽくて嫌ですね。そういうのは。
散々に言ったものの、ホラー映画としての見せ所は何か所かあるので、十分に楽しめる内容だと思う。
ホラー映画は基本的にフィクション(=作り話)である以上、いかに「それらしく」見せるか(つまり細部のリアリティにどこまでこだわるか)が生命線だが、その点においては、この作品はかなり丁寧な作りで好印象だった。
あと実力派の役者で固めているので観ていて安心感があった。
ホラー好きの人は見ておいて損はない作品だと思う。
劇場公開日 2016年1月30日
リリース日 2016年7月2日