「シング・ストリート 未来へのうた」感想(ネタバレなし)

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映像と音楽が最高にマッチしたミュージック・ビデオのような青春映画。85点

感想(ネタバレなし)

いい意味で予想を大きく裏切られた。非常に面白かった。

コナーは1歳年上のラフィーナの気を引くために、思わず「僕たちのバンドのミュージック・ビデオに出てみない?」と誘ったことから、同級生を集めてロックバンド「シング・ストリート」を結成することに。

コナーはロックに精通した兄から「カバーソングは絶対にやるな」との助言を受け、バンドのオリジナル曲を仲間とともに作り出していく。

「シング・ストリート」初のミュージックビデオに出演したラフィーナは、次第にコナーとの距離を縮めていくが、ラフィーナには一緒にロンドンに行くことを約束した彼氏がいて・・・。

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「恋愛」と「音楽」という青春ストーリーの2大要素を見事に融合させていて、気持ちいいくらいに映像と音楽がバチッとはまっている。

映画の中で主人公のコナーたちが演奏する曲がどれもキャッチーなメロディで、この映画のためのオリジナル曲とは全く思えないクオリティに仕上がっている。

映画を見終わった後に思わずApple Musicでサントラを探してライブラリに追加した。

そして、音楽だけでなく登場人物もそれぞれ味わい深い。

特に、コナーの兄の存在がこの映画をピリッと締めている。

コナーの兄は仕事もせずニートみたいな男だがロックに精通していて妙な頼もしさがあり、コナーも兄に全幅の信頼を寄せている。

普通に考えれば、15歳の少年たちがオリジナル曲を次々と作ることは不可能に近いが、ロック信者の兄がコナーに的確な助言を与えることで、物語のリアリティをギリギリのラインで保っている。

コナーの兄が「シング・ストリート」初のデモテープを聞くや、いきなりバキバキに破壊して「カバーはやるな」と命じる場面はこの映画にとって必要不可欠なシーンだったといえる。

ストーリー自体にそれほど大きな展開があるわけではないものの、コナーのラフィーナに対する心情の変化を丁寧に描いていて「恋愛」ものとして王道を行くものだと思う。

ラストはちょっと予想していなかった展開だったが、素晴らしい終わり方だったと思う。

「いい映画を作りたい」という製作者の意欲がビシビシ伝わってくる内容だった。

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年齢・性別を問わずお勧めできるいい映画です。特に80年代のポップ音楽に思い入れのある人なら何度も見たくなると思います。

Apple Musicに登録している方は、是非サントラを聴いてみて下さい。

「シング・ストリート 未来への歌」
(劇場公開日:2016年7月9日 リリース日:2017年1月18日)

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