中年女性の心の闇を描いた大人のためのサスペンス・ドラマ。60点
感想(ネタバレあり)
婚活パーティーに出席したアンナはジョージという男性と知り合い、一夜を共にする。しかし、翌日の早朝ジョージは死体となって発見される。警部のバーニーは、アンナに殺人の疑惑を抱きながらも次第に彼女に魅せられていく・・・
「アンナはジョージを殺したのか」という謎と、「アンナは精神に異常をきたしているのか」という二つの謎が同時進行で描かれる。
前者の謎については、アンナのフラッシュバックによって視聴者に徐々に明らかにされていく。
結論としては、アンナはジョージに暴行され、とっさに反撃して殺してしまったということらしい。
後者の謎については、終盤で、アンナが既に死んでしまった孫の幻影に囚われていることが明らかにされる。
映画の序盤から終盤にかけて、頻繁に公衆電話から電話をかけるアンナの姿が描かれるが、その電話の相手というのが実は自宅の留守番電話だった、というくだりが、この映画の最大のオチだと思う。
ただ、アンナが普通の精神状態でないことは、物語の中でそれとなくヒントが与えられているので、視聴者としてはこういうオチになることはある程度予測できたといえ、「仕掛け」としてはインパクトが弱かったように感じる。
オチにもう一段の「ひねり」が欲しかった。
物語のラストは、自殺を試みようとしたアンナをバーニーが引き止めるところで終わる。
アンナは不幸ではあるけれども、決して悪い人ではないようなので、せめてラストは救いをもたせてほしかった。
バーニーが自分のキャリアを捨ててアンナと一緒に逃避行に走っても良かったように思う。
物語に惹きつけられる要素はあるものの、全て想定の範囲内といった感じで、正直物足りなかった。
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「ハイヒールを履いた女」
(劇場未公開 WOWOWにて視聴)