感想(ネタバレあり)
ジャズトランペット奏者マイルス・デイヴィスがジャズシーンから姿を消した空白の5年間を描いている。
マイルスを演じるドン・チードンが彼のカリスマ性を見事に体現していて、表情や仕草を見ているだけで楽しくなる。
ただ、肝心のストーリーの方はというと残念ながらそれほど特筆すべき点はない。
マイルスが表舞台から姿を消した理由と、再び復帰することを決意するに至った理由が作中で明確にされていないため、すっきりしない。
あと回想シーンがやたらと多く、物語の展開に集中できないのも難点。
とはいえ、マイルスがフランシスと恋に落ちてから別れにいたるまでの過程は短いながらよく描けていて良かった。
個人的には、マイルスとフランシスの関係を中心に据えて物語が展開していってほしかったところ。
奪われた録音テープを取り返しに行く話は面白くないわけではないが、彼の生涯のワンシーンを描くエピソードとしては、陳腐で物足りない。
調べてみたところ、主演・監督のドン・チードルは、トランペットの特訓を積んでマイルスの外見、性格、仕種を完璧にコピーしたとのこと。
それで彼の演技にただならぬ迫力があったことに合点がいった。
また、彼はこの作品が監督デビューとのことだが、もしかしたら監督は別の人の方が良かったかもしれない。
どうも監督兼主演の映画は、いま一つな感じの作品が多い気がする。
色々言ったけれども、とりあえず観ておいて損はない作品。
この内容で1時間40分の上映時間はちょっと短い。もう少し長くても退屈せずに観られたと思う。
65点(100点満点)
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マイルス・デイヴィス 空白の5年間